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コロンビア戦プレビュー、勝利にも好試合にも支配率は無縁だった。第3戦へ日本が持つべき記憶と心意気 [断崖に立つ日本代表に窮余の一策はあるのか]

【コロンビア戦プレビュー】

勝利にも好試合にも支配率は無縁だった。

第3戦へ日本が持つべき記憶と心意気







ギリシャと対峙したW杯第2戦はスコアレスドローに終わった。

週替わりのテーマで日本サッカーを複数の書き手が論じていく

『J論』では、

「勝ち点『1』。

断崖に立つ日本代表に窮余の一策はあるのか?」

と題してコロンビアとの第3戦を占っていく。

その一つとして今回のサッカーキングでは、

『J論』編集長・川端暁彦が過去の経験を紐解きつつ、

「日本代表の良い試合」を思い出す。

その目的はもちろん感傷に浸るためではなく、

コロンビア戦に勝つことを考えてのもの。

あの好勝負も、

会心の勝利も、

「支配率」の勝利では決してなかったことが分かるはずだ。







■4年前、埼スタの記憶



 

2010年10月8日、

埼玉スタジアム。

アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表、

通称"ザックジャパン"の冒険は、

この日、

この時から実質的なスタートを切った。



 

迎えた相手はアルゼンチン。

リオネル・メッシを擁するタレント集団は、

指揮官の初陣で迎えるには酷にも思えるクオリティを持った集団である。

ただ、

この戦いは日本代表とその選手たちが持つ

「可能性」を誇示する舞台ともなった。



 

GKに川島永嗣、

最終ラインが左から長友佑都、

今野泰幸、

栗原勇蔵、

内田篤人。


ボランチに遠藤保仁と長谷部誠を配し、
トップ下には本田圭佑。

右に岡崎慎司、

左に香川真司、

1トップには森本貴幸という陣容だ。

栗原と森本を除く9人が、


今まさにブラジルの地で決戦を待つメンバーであり、

恐らくコロンビア戦にも出場するであろう主力選手たちである。



 

57735人が見守ったこの試合は、

恐らく読者の皆様もご存知のとおり、

日本の勝利に終わった。

スコアは1-0。

岡崎慎司が抜け目なく決めた1点を固守する形での快勝だった。

メッシに食らい付く長友や、

堂々と相手の中盤と渡り合う

本田や長谷部の姿を記憶している方も多いかと思う。



 

この試合に関して、

当時

「短時間で戦術を叩き込んだザッケローニ監督はすごい!」

なんて言説も目にした記憶があるが、

さすがに就任して数日指導しただけの指揮官に

そこまでの影響力があったとは思えない。

メンバーの選考からして、

個性が出ていたのはそれこそ森本と栗原くらいだ。

選手たちの素の力として、

アルゼンチンとぶつかって、

「そこそこやれた」。



そういうことだったと思っている。



 

もちろん、

アルゼンチンがこの試合にベストの戦力と

マックスの戦意をぶつけてきたかと言えば、

そんなはずはない。



ただ、

日本も先発7人が

「海外組」だったこのとき、

かつての時代のようなコンディション面での

ホームアドバンテージが強烈に発生していたわけでもなかった。



かつての日本だったら、

そんなアルゼンチンにもボコボコにされていたことだろう。

そうではなくなったのだということが、

単純にうれしかったし、

"4年後"への期待が膨らむゲームだった。





■ボール支配率39:61



 

ところで、

この試合のボール支配率は「39:61」で圧倒的に日本が劣勢である。



一方で、

シュート数に関しては「15:13」と日本が上回ったゲームでもあった。

そしてアルゼンチンの直接FKは25本(日本は8本)。

ファウルで止めまくっていたわけで、

実に泥くさい内容だったことが数字からもうかがえる。



 

この埼スタでのアルゼンチン戦、

ボールは支配されてもゲームの主導権は譲らなかった。

日本が支配していたとまでは言えない内容だったが、

確実に拮抗はしていたと思う。

素の力をぶつけ合ったゲームで、

日本は相手をリスペクトしながら勇敢に戦い、

そして結果を得たのだ。

そういう戦いができるチームであり、

選手たちだったわけだ。



 

あれから4年弱の歳月が流れた。



 

今、

日本の指揮官は随分と大きな批判の波にさらされている。

「日本サッカーはこんなにレベルが低い」

「海外とここが違う!」なんて安直な議論が、

あちこちから噴出してきた。

「日本人選手は自分たちの思うとおりの流れじゃないと、

マトモに戦えない。

そういう文化がない。

指導を受けてきていない」。

そんな意見も目にする。



 

いや、

本当にそうだったかな?



 

ザックジャパンのハイライトと言えるアジアカップや


昨年のコンフェデ杯のイタリア戦にしても、

あるいはオランダやベルギーと渡り合った

11月の欧州遠征にしても、



日本は

「自分たちの思うとおりに」サッカーができていた時

「だけ」良い試合をしていただろうか? 

もしかすると違う試合を観ているのかもしれないが、

私の記憶では厳しい時間帯も長いゲームだったように思う。

あるいはスタッド・ド・フランスにて、

香川の一撃でフランスに勝ち切った2012年の試合などは、

絶望的に押し込まれた中で勝利をたぐり寄せたのではなかっただろうか。



 

支配率を高めて勝つことを目指すことと、

支配率が低くとも勝ち切ってみせることは、

別に矛盾するものではない。

そもそもこのチームは、

立ち上げの一戦からしてすでに、

その二つを矛盾させてはいなかったはずだ。

この4年間を振り返って、

「良い試合だった」

「良い勝利だった」と思えるゲームの幾つが、

ボール支配で圧倒したゲームだろうか。

韓国をボコボコにした2011年の札幌でのあの試合ですら、

日本の支配率は55.5%。

圧倒という数字ではないし、

実は韓国に20本のシュートを打たれてもいる。

別に簡単な試合ではなかったが、

それでもたくましく勝ち切ったのだ。



 

そんな代表だからこそ、

この大会への期待値も最高に高かったのだ。

別にW杯出場国を内容でも圧倒して楽勝で

勝ち切るなんてことを期待していたわけではない。

そりゃ無理だという率直な思いもあるが、

それ以上に

「タフな殴り合いになっても強さを出せるチームだ」

という体験を、

この4年間で共有してきたからこそ、

である。



■いざ、コロンビア戦へ



 

そして迎えるは、

W杯グループリーグ最終戦である。



 

南米勢が

「苦手」と言われることが多い日本代表。

実際にデータからもそれは明らかなので、


このW杯についての展望や予想を頼まれたときも、

「コロンビア戦までに決めておきたい」

という主旨のことを書いてきた。

別にビビる気はないのだが、

客観的に見て最も勝ちにくい相手が彼らであることは明らかだったからだ。

できれば2勝同士でこの試合を迎えたかったのは言うまでもないが、

いまさら終わった戦いについて

「if」を語っても仕方ない。



 

彼の士気は読めない部分もあるが、

ノープレッシャーゆえの強さは確実にあるだろう。

逆に日本がハイプレッシャーゆえの弱さを出してしまう恐れもある。

少々楽観的に見通したとしてもなお、

確実に厳しい試合になるという予感がする。

これはもう分かっていたことだが、

あらためて言っておくと、

コロンビアは強いのだ。



 

老練な知将によって磨き抜かれた南米の雄を相手に、

日本が

「自分たちのサッカー」

を出すだけ出して圧勝するなんて展開は虫が良すぎる。

苦戦はするだろう。

厳しい時間帯が訪れるだろう。

先に失点もするかもしれない。

なかなか点が奪えないこともある。



 

ただ、

だからと言って負けるわけじゃない。



 

4年間、

このチームはタフなゲームを幾つもくぐり抜けてきた。

そしてその上で、

多数の勝利を刻んできたのではなかったか。

厳しい試合になるのは当たり前だ。

思うようにいかない時間帯が来るのも当然だ。

それがサッカーだし、

ここはW杯なんだ。

弱い国なんて、

そもそも出ちゃいない。



 

それを踏まえた上で、

勝ち切ろう。

そう言っておきたい。



 

無理難題を吹っかけているつもりはない。

私は日本人選手のポテンシャルと、

この日本代表チームの可能性を

「知っている」。

宗教みたいに信じているわけじゃなく、

もっと単純に

「知っている」。

彼ら個々人がどれほどのものを乗り越えて、

この舞台に立っているかも

「知っている」。

この土壇場、

確かに絶体絶命のシチュエーションだが、

彼らのことを知っているからこそ、

勝利を信じてみたい。



 

他会場のことは正直言ってどうでもいい。

幸せな結果が待つことを祈って、

目前の相手に挑むのみ。

人事を尽くして天命を待つ。

この状況にふさわしいそんな言葉が、

日本にはあるのだから。







一人の現場記者として、

あえて今「ザッケローニ」を語ろう







ギリシャと対峙したW杯第2戦はスコアレスドローに終わった。

週替わりのテーマで日本サッカーを論じる

『J論』では、

「勝ち点『1』。

断崖に立つ日本代表に窮余の一策はあるのか?」

と題してコロンビアとの第3戦を占っていく。

第3回目はブラジルで日本代表チームの取材を続けてきた小谷紘友が、

あえて

「ザッケローニ監督」について語る。

現場記者が観た日本代表チームに寄せるのは願いでも、

ましてや祈りでもなく......。






▼代表を取り巻く空気は一変した

 

史上最強と謳われた日本代表は、

このまま無残にもブラジルの地から敗れ去ってしまうのか。

アルベルト・ザッケローニは、

大きな批判の声とともに代表指揮官の職を離れてしまうのか。

日本は、

ついに運命の一戦を迎える。

そして、

置かれている状況は最悪だ。



 

対戦相手は、

コロンビア。

当然ながら強い。

グループCの4カ国の中でも、

頭ひとつ抜け出しているという下馬評通り、


2連勝で早々にベスト16入りを果たした。

突破を決めてメンバーを落とす可能性こそ残すが、

控え選手のモチベーションは言うまでもなく高い。

グループ最強国との対戦で白星が必須という条件は、

大会前から最も避けたかったシナリオだ。

加えて、

同じ南米大陸という地の利もあり、

試合地のクイアバにはコロンビアサポーターが大挙してやって来ている。

日本寄りの声援を受けた過去2試合とは異なり、

スタジアムの雰囲気もコロンビア寄りになりそうだ。



 

何より、

日本を取り巻く雰囲気が大会前とは一変してしまった。


ベスト16進出に向けては、


何とか首の皮一枚つながってはいるが、

1分1敗という結果を受けて、

チームへの大きな期待は激烈な批判となって渦を巻き、

一気に噴出した。

そして、

鋭い矛先は、

主に指揮官に向けられている。



▼チームの軸はズレたのか

 

かつてザックは、

日本代表監督のオファーを受けた理由を

「運命を感じた」と説明したことがある。



 

クラブ畑の指揮官であり、

代表監督は未経験だった。

そんな彼の下に、

ある2カ国から代表監督のオファーが舞い込んできた。

ところが、

現地で話し合いもした上で

「文化や振る舞いが自分には合わないかなと思った」

という理由から、

就任要請を見送っていたことがある。



 

その後の2010年。

日本から誘いを受けた当時を

「すでに飛行機に片足を入れている気持ちだった」

と振り返る。

「本能的に日本代表の監督をやりたいと思った」

ということでオファーを受諾して以降、

ザックは日本を過去最高と言えるチームまで引き上げる。

タイトル獲得はもちろん、

4年前の守備的な戦いから、

自らが主導権を握りに行くサッカーへと舵を切るべく招聘され、

一定の成果を出してきた。



 

主将を務める長谷部誠も、

開幕前に力強く語っていた。


「前回は直前で戦術を変えてやりましたけど、

この4年間は自分たちに合った、

自分たちが世界で勝つためのサッカーをずっと追求してきた。

このW杯で日本サッカーが未来もこの

スタイルで戦って行くんだというものを見せたい。


例えば、

メキシコなんかはそういうものがずっと連続してあるわけだし、

そういうものを自分たちが作り上げたいという気持ちも強かった。

未来につながるものをこの大会で残したい」


 

確かに、

この2試合の終盤に見せたパワープレーへの疑問はあったかもしれない。

大一番の直前にオフを与えたことも、
議論を呼んでいる。

それでも、

この2試合の結果だけではなく、

改めてこの4年間のことを考えれば、

コロンビア戦に向けて違った見方を持てるのではないか。



 
そして、

わずか10日前、

チームの雰囲気は外から見ていても最高だった。



 
5月27日のキプロス戦以降は出場機会に恵まれずにいたが、

初戦を前に熱っぽく語っていた清武弘嗣の言葉が印象深い。




「選手のミーティングがあって、

みんな一人ずつ発言する時があったんですけど、

人それぞれ思っていることがあって。

常にみんな『出たい』と思っているし、

けれど本当に試合に出るのは限られた11人なので、

そういう中で試合に出られない人が勝つために

なんでもするというのは当たり前だと思いますし、

そういうことができないといけないと思うので。

まずは、

本当にチームが勝つために自分は何でもすると

いうのはみんなに伝えました。

今の

(サポートメンバーの杉森)考起と

(坂井)大将を合わせて25人のメンバーで

戦えるということはすごく幸せですし、

このメンバーでいけるところまで行きたい」



 

何よりもチームの和を重要視する指揮官である。

外から凄まじい逆風が吹き荒れている今なお、

チームの結束が崩れたとは思えない。

チームがオフとなった21日、

会見に臨んだ指揮官は現状について

「満足いく戦いができなかったのはよく分かっているし、

言い訳をあえてするつもりもない」

と語ったというが、

こうも続けている。



「ここにいる選手とは全員と対話をした上で、

その気持ちを確認して、

全員が同じ方向を向いているということが感じ取れたし、

誰一人として方向からズレている人間はいない」



▼「史上最強」の理由

 

今回の代表が史上最強と称されるのは、

何もタレントぞろいという点だけではない。

これまで残してきた結果や内容、

あるいはチームとしての一体感、

多くの要素が合わさった上での評価だったはずだ。



「このチームはこれまでの戦いの中で沢山の喜びであったり、

満足感、


充実感を与えてきてくれたと考えている。

コロンビア戦で再度、

これまでやってきた

"いい日本"を出したいと思うし、

そういう戦いを見たいと個人的には思っている」



 

まさに、

その通りである。


指揮官自身の言葉通り、

アルベルト・ザッケローニが4年の時をかけて熟成させてきた

日本代表はこんなものではない。



 

今大会では、

王者スペインが脆くも敗れ去り、

母国イングランドも敗退が決まった。

やはり、

世界一への争い、

W杯の戦いは並大抵の厳しさではない。

しかし、

日本のシナリオにはまだ、

幸いにも書き換えの余地が残されている。



 

ザック体制で56試合目となる運命の一戦は、

まもなく始まる。

戦いの末に結果がどうなろうとも、

ザックと選手達の4年間は消え去ることはなく、

色褪せるものでもない。この戦いを経て、

その冒険は終着となるかもしれない。



あるいは、

世界一への挑戦が続くのかもしれない。

いずれにせよ、

指揮官の感じた運命が一方的なものではなかったと、

そう実感できる試合であってほしい。



 

これは、

願いではない。


もちろん、

祈りでもない。

 
信頼である。

4年間、

指揮官が選手を、

日本を信じてきたように。

チームと、

ザックへの信頼だ。



4年間の集大成を見せると意気込む香川真司「絶対に勝ちたい」




ブラジル・ワールドカップのグループリーグ

第3節コロンビア戦を24日に控え、

日本代表FW香川真司が記者団の取材に応じた。



 

気候面について問われると

「少し暑いですけど、

相手も一緒なので」と気にする点ではないと答えた香川。

決勝トーナメント進出にはコロンビアに勝利、

さらに2点差以上をつけることが望まれる試合となるが、

「しっかりと試合に入って先制点をとることが

自分たちにとってのベストだと思っています」と、

目の前の試合、

目の前の1点に集中していくことを強調した。



 

ギリシャ戦ではアルベルト・ザッケローニ監督が

サイドを広く使う展開を求めながらも、

途中出場した香川は中でプレーするタイプの選手ということもあり、

そこでバランスをどう見つけるのか問われ、


「特にこの4年間ずっとやっていますし、

今更、

監督の言っていることがどうのではなくて、

やっぱり4年間積み上げてきたものがあるわけですから、

それをしっかりと試合で出すべき」と答えると、

「明日絶対に出さないといけないと思うし、

断崖に立つ日本代表に窮余の一策はあるのか」と続け、

強い意気込みを語っている。

絶対に、

勝ってください。

ecar

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